フィナンシェ作りに着手。

フィナンシェとの最初の遭遇は、ざっと20年程さかのぼる。
神戸からの客人が我が家にお土産としてもたらした。東京では買えないお店のもの、ということで初めて食べた時のバターの風味やしっとりとした触感に、とてつもない感動を覚えたことを、今もよく覚えている。
残念なことに、そのお土産の菓子がどのお店のものだったのか、一番大事なその部分の記憶がなく、その後何度かこれでは?と東京未出店のお菓子屋さんを、関西方面に赴いた際は必ず探したものだが、再びの逢瀬は叶っていない。
ひょっとすると、東京にもすでに進出済みで、何度か口にしているが、記憶の美化が凄まじく、見逃してしまったなんてこともあるかもしれない。
その後も、様々なフィナンシェを食べ、フィナンシェへの愛着は深まるばかりなのであるが、お店によってかなり味も違うため、あたりはずれも当然ある。
とはいえ、はずれもそれなりに美味しいので、困ってしまう。
現在はこのフィナンシェこそ、私のエトワールと言って差し支えない、というフィナンシェが確定している。
しかし。一番のお気に入りをたらふく食べたい、いや、もっと、もっと私にとっての最高の逸品があるのではないか、と思うに至った結果、おこがましくも、自分で作ろうと決めた新春。
レシピを調べると、実に様々。
材料の一つ一つをとっても、何処産だとか、お酒を入れる入れないとか、お店で買ったものも、裏を見れば材料の並び順が結構違っていて、興味深い。
アーモンドプードルは、スペイン産が良い物らしいとか、発酵バターを使うかどうかとか、そのバターは国産かエシレバターのようなフランス産か、組み合わせだけで無限にレシピが違ってくる。
ああ、なんて楽しいんだ。
まずは、基本の、土台となる作り方を学習せよ。
というわけで、初めてのフィナンシェは、AU BON VIEUX TEMPS 河田シェフのレシピを使って作ることに。
ベーキングパウダーを入れないタイプ。入れた場合とそうでない場合を比較して、私の好みがどちらなのかを知りたいと、両方作ることにした。
使ったのは、
カリフォルニア産の皮なしのアーモンドプードル。バターは雪印北海道バター。
まずはここから。
スペイン産の粉も発酵バターも用意してある。一つずつ材料を変えていって、どのくらい変化があるのか、私の好きなのはどっちなのか、いつかあのVIRONのフィナンシェよりも私が美味しいと感じるものにたどり着けると信じて。

最初のフィナンシェ、見た感じ、無難に出来上がったといえよう。味も悪くない。
ぶわっと広がるバターの香りはいまいち。しっとり感も悪くない。角のエッジを噛んだ時(分かり難いかもしれないが、私なりのポイント)の感じは、VIRONに遥か遠く及ばない。
そして、ベーキングパウダーを入れた分は、グラタン皿に大きく作った。
こちらの方が、しっとり感が強く、小麦粉にはない、粒々とし生地の舌触りを楽しめる気がする…しかし、型が違い過ぎて、比較し難い。

冷ますために切り分け始めたら中心部の下の方に、生焼の箇所が。切り分けた状態で再びオーブンに。

ビスコッティのような焦げ目がついたら、ますます美味しくなった。
とはいえ、フィナンシェなんだろうかこれは…。
でも美味しい。最初は卵5個のレシピ通りに作ってみたのだが、2人住まいの身には持て余す量のフィナンシェが出来上がった。VIRONのフィナンシェだったら食べ切れるだろうが、これは無理だ。
今回の反省点、次回の展望を手帳に記して1回目、終了。
初めてのフィナンシェ、70点→60点(減点理由はまた後日)

