『教皇選挙 CONCLAVE』を観てきたの。

今年のアカデミー賞を観ながら、最も観たいと思った映画がこれ。
どの映画も、もう演技がどうのとかそういうレベルじゃないことが前提として、あとは、知らない世界を伝えてくれるものとか、圧倒的な世界観とか?そういう諸々を考えたとき、実際にある場所での物語というか、要はファンタジーのようなものよりも、私は現実世界の物語の方がより一層、評価に値すると思っている。厳しい審査の目にさらされると、思っている。
だから、こういう映画は、有難いと心から思う。
システィーナ礼拝堂の中に入ったことないけど、広場には行ったことがあって、1月3日だったかの、教皇の新年の挨拶みたいなやつが行われたとき、バルコニーに現れたローマ教皇を見上げる群衆の一人だったことがある。
天皇陛下のそれにも参加したことがないのに。
ネタバレはしてないと思う。
アカデミー賞で紹介されるシーンや予告でしか見てなかった細部について、セットなのかと疑った。というよりも、バチカンがまさかここまで解放したのか?とかね。カソリック総本山がなんたるかを理解などとうていできない、極東の私ですからそんなものでしょう。
だから、アカデミー賞中に何度も、あれをセットで表現したなどというコメントが出るたびにぞくぞくしたのです。重厚な雰囲気もそうだし、ミケランジェロのフレスコ画以外の色彩は、ぐっと抑えられているような、現代の話と思えないような空気感に、魅了されたといっていい。
15分、見始めてからすぐ、とは言わない。そのくらいで、私はあのシーンの中に浮遊する観察者になった。
ものすごく、面白かった。
こういう映画って、やたらと長くなる印象があるけれど、この映画は、終わり方とかとは別の話で、もうちょっと見せてくれっ!って思うくらいだった。
印象的だったのは、人間の欲?慢心?なんだろう。
教皇に選ばれたくない、と言っていた人が、その実、自分に票が集まらないことで他人を責めたり。教皇という重責を思うと、絶対になりたくない、と言い張る人が、少しずつその気になったり。かと思えば、あからさまになりたい人たちがいる。
ややあるサスペンス要素の最後の真実が、本当に瑣末なことに感じるくらいの、聖職者たちの心のひだとその描き方の見事なことよ。
とても、とても素晴らしい時間をありがとう。
面白かった。私はこういう映画が好きなんだと、改めて。
それにしても、惣領冬実の『チェーザレ』で読んだコンクラーヴェ。浦沢直樹の『20世紀少年』でも触れていたよね。
前知識としては十分過ぎるほどのものでした。
知らない世界に触れる方法として、漫画というのは本当に素晴らしい。
そしてコマの外側、細部を描いて視る場所をこちらに選ばせてくれる映画。
改めて、素敵な時間をありがとう。

