『ふたりのマエストロ』を観てきたよ。

原題:MAESTRO(S)
2022年/フランス・ベルギー
監督:ブリュノ・シッシュ
出演: イヴァン・アタル、ピエール・アルディティ
予告を観たときから、絶対観る!と決めていた本作。
先日観た、『テノール!人生はハーモニー』でパリオペラ座、『ター』でベルリンフィルハーモニー、こうなったら次はミラノスカラ座よね!と音楽映画づいてるなぁなんて、ちょっと楽しくなっていたところ。
わたくし、主人公の指揮者が、ミラノスカラ座の常任を夢見ていることだけは認識していたため、この映画はイタリア映画だと思っておりました。オペラ座があるのに、ミラノスカラ座の芸術監督になりたがるなんて考えなかったのですけれども、よくよく考えたら、母がパリオペラ座の芸術監督に大好きなバレエダンサーが就任して、きっともう舞台で観れないと寂しがっていたのを思い出した。そっか、芸術監督、指揮者がやるわけじゃないんだ、パリはって。
それが正しい認識なのかは分かりませんが、ミラノスカラ座、私行ったことがあります。
でも、当時(ほぼ30年前)はひと月の間に欧州のオペラハウスをいくつも回ったために、どの記憶がどのホールなのかさっぱりでございます。
やはり興味と関心がしっかりあって、主体的でないと、いい経験をしたわーという、あらゆる物事に使える一言で話が終わってしまいます。
実に、勿体無いことをしたなと思います。
それはさておき、映画はとても面白かった。
あらすじとしては、指揮者の親子がいて、名誉ある役職のオファーが、誤って父親の方へ届く。実際は息子へのオファーだった、という物語にはありがちな筋。
この親子は、同じ職業になったためなのか、変に意識しあっており、互いの功績を単純に祝福できるような関係にはありません。それでも、息子は父に届いた誤ったオファーが、父の生涯の夢であることを知っており、改めて自分に届いたオファーを簡単に喜んで受けることもできず、思い悩むことに…という感じ。
息子には今は仕事のパートナーである元妻とその間に生まれた息子がおり、ヴァイオリンニストの恋人もいる。
父と母はどうやら入籍はしていない模様。元パートナーとか子供とか、恋人との間柄など、実にフランス都市部な感じだ。
間違いを心から喜び上機嫌な父の姿に、なんとか傷付けないようにと、家族が奔走する姿はとても愛しい。
そんな二人の指揮者がいるわけだから、普段の生活シーン、仕事シーンには音楽が溢れている。映画館で聴きたい音楽ジャンルNo.1は絶対クラシックだ。
ラストシーンは、そうきたか‥‥と唸らされて、本当に気持ちの良い映画だった。
ところで。
例えるなら、最高の賞の受賞を事前に知らせる連絡が来てさ、それが間違いだったっていう結果だったとして、連絡する相手を取り違えた秘書も、その秘書の上司に当たる人も、一言もお詫びはしないの。
「大変なことになった」だとか「苗字違いなんだ」としか言わないの。悪かったとか申し訳ないとか一切なしなの。
そこに一番衝撃を受けたよ。謝ったら非を認めた!とかで裁判沙汰になるのかな…やだなそんな社会……
余談だけど、次は『ダンサー・イン・Paris』かな。音楽づいているというより、パリづいてるっぽいです。

