介護の始まり
週末の一日は、実家で父を見守る。
そう決めてから、初めて母が不在での訪問の日がきました。
これまでは、母の話相手の側面と、力仕事を手伝うような感覚だった数回で、父の症状や状況をそれなりに掴みつつあるものの、トイレの介助とか補助をすることはなかったので、初めてとなる日を迎えて、なんというか、簡単に言えば実家へ向かう足取りが重たかった。
行くと、「悪いな」とか呟く父の内心は、母が外出してることへの不満があるように感じましたが、本心でどう思っているのかは分かりません。
我が家は、見事に好き勝手やってきた個々の集まりです。こうしなさい的な干渉は大学進学後はゼロでしたし、両親も各々の収入額面を互いに知らないような家庭です。
父は50歳で退職してそのあとは数ヶ月欧州旅行を楽しんだり、ずーっと自分の趣味に没頭していました。
退職してすぐ再就職したらだいぶ違ったんでしょうけど、人生100年時代が来ると思っていなかったのか、父が現役を退いたのはいま思えば早すぎた。
10年近くを好きなように暮らせば、再就職のときには、積み重ねたキャリアなんて活かせるはずもなく。その辺りで卑屈さを身にまとったような気がします。
先日、職場の以前のチームの方々との慰労会に参加したのもあって、現役でしっかり勤めている父と同じ歳、なんなら一つ二つ上の方を目の当たりにして、何も感じないわけありません。
さらには、父より10歳上の方が、美術展で入選して、新国立美術館に絵画が展示されているなんて話まであって。
その方々は、私が入ったばかりの質問攻めのときに、父は退職してイタリアに行ってるとの回答に、一斉に「いいなぁ〜」って口を揃えられたんですよね。
いま思えば、全然、あなた方の方が輝いていますよって、思います。
これから先は社会は変わっていくかもしれないけど、男性の方が、メインコミュニティが大きい分、関わっている場所が少なくて、だからこそ、メインを離れると難しい。
女性は小さなコミュニティをたくさん持っている人が多くて、だから、ひとつと離れたってどうにでもなるのだと、つくづく思います。
父の日に、父のことこれだけ考えてるんだから、本当に私は父のこと大好きなんだと思います。
ものすごく情けない男だけどさ。
そうじゃないってところを見せられていた時代というのはちゃんとあったことを知っているもの。何しろ私はずーっとファザコンでしたから。あのときの父がメッキものだなんて思わない。たくさん守ってもらったし、本当に、私はお父さん大好きっ子だった。
だからいっとき、我が父の肖像が裏切られた!と強烈に感じてしまった時期がありました。正直言えば今もその要素はあります。
数時間とはいえ二人で過ごした感想は無心でした。
本当に、いやだともまたこんなこと言って、とも思わなかった。
定期的にトイレに行きたいか、水をかえるか、食事食べる気になったか、そんな確認を繰り返すだけでした。聞かれたら答えて、「ならいい」とか「そうか」とか返す父がまた眠そうにうつむくのを確認するだけ。
そして、日々向き合っている母。
あなたは本当にすごい。いつもありがとう。
3週間ぶりの趣味の時間の合間の電話の声が、本当に楽しそうで、私の方が達成感で満たされたっていうね。
今日私への報酬として支払われたものは、高配当ETFに投資したと思ってくれていいわ。
トニーかくー
来週は、パソコンを忘れないようにしなくっちゃ。

