『樹木たちの知られざる生活』を読んでみた

2022年8月14日 / よむ-書評というほどでもないけど

 

ひとに薦められて、『樹木たちの知られざる生活』を読んだ。

そんなに?というくらい熱意を感じたので、読んでみたところ、これが面白かった。

 

興味深く面白いと思って読み続けるものの、そのペースがいつもよりゆっくりになった。本の中にも、木々はゆっくり生長すると書いてあるもんね、と勝手に胎落ちするけど、不思議なものだ。

とにかく噛んで含めるようにゆっくり読み進めた。

 

植物が生きている、とは心から思い感じてはいるものの、まさかそんな、そこまできっちりと、様々な活動をしているだなんて、と何度でも驚かされる。そして、ふとそういう現象を頭の中に思い描くとき、浮かぶのって、私の場合、シシガミ様の森なんだ…って少し悲しくなった。

屋久島行って、宮之浦岳登ったし、屋久杉までたどり着いたのに、まず思いつくのはジブリが描いた森でした。まあ、巨匠がすごいって話かもしれないけど。

 しかし本著の森はドイツや欧州の森なので、湿度の高い苔むした日本の森の景色とは随分と違うようである。シダ植物もほとんど育たないという記述もあったと思う。

 

 

たしか私が高校2年の時に赴任してきた地学の先生が、最初の授業でいきなりブナの原生林のすごさ、白神山地のすごさを熱弁された。とにかく熱く、授業のコマを目一杯使っての講義だった。

目がめっちゃキラキラしてて、生徒のことなど見ていなかった。多分すごく遠くの山の中に行ってしまっていたのだと思う。

この人は子どもたちの現状を憂いてはいるが、教員なんてやりたくはないんだろうな、研究費さえ稼げればとにかくフィールドワークに出たい人なんだなあ、なんてことを思うに至ったのだけれど、彼の熱は、いまとなっては名前も思い出せないのに、記憶にしっかり残っているほど、印象的だった。

 その後白神山地が世界遺産に登録され、改めて彼を鮮やかに思い出し感心したのだが、今回この本を読んで、ちょっと考え込んでしまった。私が記憶していたブナの原生林のすごい理由が、本書の話と符合しない。

あれぇ?とは思うものの、だからって、事実はどうなのか、を調べようと思わない私は決して博士にはなれない。

まあ、記憶の中の話と闘っても仕方ない話だし。日本の森と欧州の森は違うんだから。

 

話を本書に戻そう。 

 

著者が管理している森林の話から、ドイツをはじめとする欧州の森の変遷、勢力を伸ばす樹木の種類やそれに伴う虫や菌などの生体、さらには森に棲まう動物たちまで、思い返せばかなりの生き物たちの物語が樹々の生長とともに描かれていた。

樹木の誕生から終わり、そこに至るまでの数世紀に及ぶ時間が、現代だからこそ解った事実と著者の実感と共に記されている。

 

木が家族を形成しており、親は子の生長をコントロールしながら周りの親戚たちとのネットワークを使い日々のストレスを木の速度でゆっくりゆっくりと回避しているなんて、考えたこともなかった。

 

当然読み進めるスピードは遅くなるが、なんというか森林浴でもしているような、最近の暑さが紛れるような…、なんかそんな気持ちになった。

 

 

だがしかし、そんな心持ちでいられたのも途中まで。

「ストリートチルドレン」という章に入ってからは、そうはいかない。

 

ストリートチルドレンとは、親の樹冠の庇護から引き離された、街路樹などの若木たちのこと。

 

目に入る緑が多いということは自然に優しいってことだと思い込んでいた。

日差しを避けたいとか、景観のためにと、人間の勝手で400年とか生きられたはずの生命の誕生でありながらきっと5分の1くらいの一生を強いられてしまう、まあ、伐採されて紙になるとか、燃料になるとか、どっちがいいのかなんて私にわかるわけないけど、考えることには意味はあると信じたい。

 

とにかくね、この章以降は、読み進める心境が全然変わってくる。のどかな時間ではなくなってしまった。

そして、一層身の回りの木々に対しての目が変わる。もう、野良猫を見守る気持ちと何が違うというのか、そんなレベルだ。

 

私の家の前に、雪の重さで一番大きな枝が折れてしまった木があった。あの木はきっと抵抗していたのだろう。その後、伐採されてしまったが、しばらくその場にはいた。再生しようとしていたのかもしれない。

近所の桜通りで、子どもでも手が届くくらいの高さに新芽をいくつもはやしていたあの桜の木は、もう、限界なのかな…とか、そんな記憶にいちいち意識が飛んでいった。

 

 

それにしても、ドイツはすごいです。

著者はドイツの森林の管理人さん。なんと本書によればドイツ憲法には、

 

動物、植物、および他の生体を扱うときには、その生き物の尊厳を尊重しなければならない

 

という条文があるそうだ。

過去のあれこれを踏まえながら、高邁な理想に燃えた精神が落とし込まれている。

 

いつかじっくり自慢の森を散歩してみたいと思う。

 

 

文庫があるって、知らなかった。

シリーズのような他の本も気になるから、丸善に立ち寄ったらみてみよう。










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