山の上ホテル

文豪の愛したこのホテルは、最初はそこまで気になってなかった。
松本清張のゼロの焦点の着想が生まれたそうな、東京ステーションホテルの方がずっと泊まってみたいホテルで、山の上ホテル、知ってはいたが、ラグジュアリーホテルじゃないよね?泊まろうと思えば何時でも泊れるよね?とまぁそんな感覚だった。
今回、母が突然、「80歳の時には山の上ホテルに泊まりたい!」と言い出した。こないだ70歳になったばかりの母とは、ギリス旅行を計画していたもののコロナで断念せざるをえず、まぁきっと色々燻っているのだろうな、と。では積立貯金でもしておくかと、HP を確認したところ、
あれ?こんな素敵だった…??おっと、コロナで都民限定プランが!なんてことなの!そもそもこういうクラシカルな雰囲気大好きなんですけどーーーーー!
ってちょっと叫んだ。叫んでそして、母に電話した後で即予約しちゃった。
80歳とかで泊まるなら、スイートにしましょう。
シングルの部屋もイイ。どの部屋も趣があって良い。全室泊まりたい!サイトを見れば見るほど気持ちが昂ってしまったほど。
天ぷら屋さんとか、ホテル内のお店や朝食なども有名だそうなのだけど、残念ながらコロナで朝食は部屋食のみと注釈あり。こればっかりは仕方ない。
というわけで、いよいよ迎えたその日。

チェックイン時間より早めについたため、応接室という感じのステキな場所で本を読みながら待つ時間。おかげで書き物机や本棚などの調度品をじっくり堪能できた。

その時々に、テーマを掲げて展示されている文献なども違うようです。
案内された部屋はこちら。

和洋室。畳に半分絨毯を敷いて、畳部分にベッドという私の感覚だと逆じゃないかと思ったりするのだが、洋室より和洋室の方がほんの少しだけ部屋が広いので、こちらを選んだ。

バスルームはコンパクトだけど、使いやすそう。
そして、チェックイン時に施設の説明を受けてショックを受けた。
バーノンノンが、コロナ禍の営業時間変更により、私の宿泊する曜日が定休日になってしまっていた…。レストランでいただけない朝食以上のショックだ。ホテルのHPを見たときからずっと、すっかり憧れのバーになっていたの。この事実は静かにずーーーーーーーーんと胎に残り続けた。
でも、がっかりしていた私を見かねてか、やはり有名なバーだからなのか、「見学されたい場合はいつでもお声をかけてくださいね」と言っていただいたので、チェックインの後に、見学させてもらった。

写真をガンガン撮れるというのは、営業中じゃないからこそで、これはこれでとてもよい機会だった。
愛すべきウイスキーのラインナップを睨むように見つめてしばし、クラシカルなこげ茶のしつらえの中で暖かく灯る白熱灯に照らされるであろう夜のバーの姿を想像する。あーやっぱり行きたかった!今度はバーを訪ねるために泊まりに来よう。
チェックイン後は、時折降る雨の中、お茶の水界隈を散策した。
行と違うルートで山を下りると、神保町にあるはずの都内で最も有名な讃岐うどん店『丸香』に出くわして、心底驚いた。神保町とお茶の水の距離感がここまで近いとは思っていなかった。明日のランチは丸香に決定。
しかし、日曜日のこの辺りは楽しくない。オフィス街も学生街も、基本的には日曜日は閉まっているお店が多いらしい。ほどほどにホテルへ戻った。
ホテルのラウンジにはカフェがあって、ショーケースにはケーキも並んでいる。私はフィナンシェを買う気満々だったので、じっくりと観察。母と部屋でケーキを食べようということに。ティラミスとチーズケーキを買って部屋に戻る。

夕食前にいただくことに。
夜は丸香の隣のバルで軽く済ませた。母がこのバルを大変気に入って、これからも通うと誓いを立てる。
翌朝、ルームサービスの朝食は、大変だった。
テーブルがそれ仕様ではないからだ。無茶だよ全部乗せるなんて。離れたドレッサーの上に置いたり、モノによっては床に直置きしたりする羽目になる。

やっぱりルームサービスで朝食を摂るなら、もっと広めの部屋でないと厳しいよ。ホテルの朝食は食事処でいただくほうがいいなと改めて確信した。旅館なら、話は変わってくるけどね。
全部の部屋に泊まってみたい!と思ったホテルでの滞在を終えた。
コロナ禍で生じるおもてなしの変化、この辺りが平常仕様に戻ったら、改めて滞在してバーを楽しんだり、朝食を味わったりしたいものです。
それにしても、観光業界を始め各業界、それぞれのこのコロナ禍でのご苦労には頭が下がる。複雑な胸の内もこちらの想像以上だろう…。少しでも貢献?できるよう、必ずまた来ますね。
坂道を下り我々は丸香へ。
月曜日の11時前、既に店の前にはなかなかの行列。昨日とは打って変わって強めの日差し。大人しく並びました。母には初めての丸香。

何度見ても美しい。
岩波ホールへと向かった母を見送って、のんびり家路へ。素晴らしき休暇を思い返しながら。

