10時打ち、を知ってるかい?
10時打ちとはなんぞや。
私がこの言葉を知ったのは、とあるものをなんとしてでも手に入れたいと思った時に、である。
まずはこちらをご覧ください。

はい。
わかりましたね。
現在、日本唯一の定期運行の寝台特急、サンライズ出雲のA寝台のチケットでございます。
勝負は乗車の1か月前
乗車したのは、2021年11月26日18:51出雲市発東京行であるけれども、始まりは1か月前から、となります。
JRの切符は、1か月前にならないと買えません。
私は、どうしてもA寝台に乗りたかったから、1か月前の10月26日は午前中は休暇を取って、みどりの窓口に並ぶことに決めていました。
You tubeで、たまたまA寝台が空いてたから乗ってみた、という動画を見たりしてたのもあって、平日だし、上りだし、そこまでの競争は考えていなかったのです。
取るぞ!と心に決めたのはさらに数ヶ月前のことだったし、コロナ真っ盛りの時期は流石のサンライズも乗客は少なかったようで、探りを入れてみた情報はどれも楽観的な私の気持ちに拍車を掛けるものだった。
ところがです。ご存知のように、緊急事態宣言が開けて、結構な勢いで収束的な空気も流れたし、自粛の反動とまではいかないかもしれないけど、人々が動き始めたら、サンライズって、シングルの寝台がほとんどだし、シングルってことは平気じゃね?みたいな空気、流れたっぽい。いや、私のリサーチ不足で、そんな空気はずっと前から流れていたのかもしれない。
10月26日が近づくにつれて、果たして本当に取れるのか?という不安が強くなっていきます。
でもでも、やっぱり、ピンポイントにその日に殺到なんてことはないと思うし…、金曜日の夜に東京に向かいたい沿線の人たちが殺到する? ないない!って何度も言い聞かせた。
さて、問題はどこの駅のみどりの窓口に行くか、ということでした。
私の家から一番近いと思われるみどりの窓口でいいよね、って、東京駅とか行っちゃうと、逆に殺到してるんじゃないか、でも地元だと、窓口きっとひとつだろうから、先頭に並べなかったらもう取れないよね、とか、経験者の情報をwebからかき集めて一人作戦会議です。
10時打ち?なにそれ。※2回目
察するに、事前に情報を入力しておき、10時ジャストにエンターキーみたいなやつ?
チケット取りなら、携帯の発信ボタンの真上に指を浮かせておくような?
やってくれる駅とやらない駅があるらしいとか、もうさ頭はパンク寸前。
そんな折、同居人が、私が行こうと思っていた駅のみどりの窓口は健在なのか、と言ってきた。
え、だってなくなったら困るじゃん?私昔ずっとそこで定期とか買ってたんだもん。でも、怖いから調べてみるね、うそ、一昨年くらいに閉鎖してる…!
こういうことがあるのですよ。
決戦のみどりの窓口は錦糸町駅
長々と書いていますが、私は紆余曲折を経て、当日、JR錦糸町へ向かいました。
15分くらい前で十分だろう。取れる気がする。
そうたかをくくって、軽めのクエストをこなすくらいな気持ちで向かいました。
錦糸町のみどりの窓口は、無事健在。明るく綺麗な佇まいで安心して、弾むような足取りで中へ。
そうしたら、一人の男性が窓口に並ぶ用と思しき椅子に座っているのです。窓口には職員さんがおり、他には誰もいません。これはもう、10時の発売を待っている人に違いありません。
私は2番手か・・・・・
そう思いましたし、その人がサンライズとは限らないし、なんて思ったけど、2番手の時点で全国のみどりの窓口でサンライズの切符を買おうとしている一番手の人たち、ネットで購入しようとしている人たちにはもう勝てないということには考えが及ばずでした。
男性の後ろの椅子に座ろうとした私に、職員さんがどうぞ、と声をかけてくれましたが、10時発売の切符が欲しいのですと申込書といいますか?記入した用紙を渡したところ、9:55頃にご案内しますので、と言われその紙を持って行かれました。
ここは10時打ちをしてくれる!
そう喜んだものの、私は2番手…。
私の前に並ぶ男性はまだ手にその紙を持っていたので、競合他社ではないと安心したのも束の間、手元で丸めているその紙に、「出雲」の文字が見えました…! ああやっぱりライバルだったー! でもまだ、この人は下りかもしれない!目まぐるしく頭の中を駆け巡る私の叫び。
そのとき、奥から女性の職員さんが現れました。
男性の職員さんに私の用紙を見せられて、二、三話したあと、私のところへやってきました。
「確認ですが、もし、もし取れなかったらどうしますか?」
と。
もし、を強調している感じはしたので、行けそうな気がするのかなーと、勝手に良い方向に捉えつつ、2番手の私ですから、もう、寝台が取れれば別に…くらいな気持ちに自分をコントロール。結構必死です。
「B寝台で」
「禁煙ですか?」
「はい、禁煙のB寝台」
「わかりました、一応準備しておきますね」
こんなやり取りの5分後、閉じられていた2番窓口が開きました。女性の職員さんはそこへスタンバイ。
1番窓口に一番手の男性が導かれ、私は2番窓口へ。
「あと4分ほどなんで」
そう話してくださる職員さんの手にはストップウォッチのような懐中時計が。
男性チームは、最近サンライズのチケットが大変とりにくいとか、一番手の方の希望がツインで、ツインは3つしかないからますますとりにくいよとか、シングル二つにしたほうがいいかもとか、金曜の夜の東京発が一番難しい、とか、結構色々話し続けていて(あ、下りなんだ!ライバルじゃない!)、画面と懐中時計を交互に睨むお姉さんとはずいぶん違って余裕があるなぁと思いました。
「あと2分ですから」
お姉さんの真剣というよりも深刻な声色。
そうですか、頑張ってください、なんか、緊張してきた。耳がキュイーンてなってる!
そしたら、時報の音が聞こえてきまして。え、流れてたっけ、そんなのさっきから?と。
そして、ポーンと、あの時報の時を告げるトーンでお姉さんが画面を連打!
かと思ったら、拳を握って小さくガッツポーズ!!!!!
「取れました!」
おねーさんっ!!!!!!
「ありがとうございました!」
もうねぇ、マスク越しでも私の超笑顔、感謝の満面の笑み、見えたと思う。
お姉さん、本当にありがとうござます!
「やっぱりツインは無理でしたね、シングル取りました」の声も聞こえました。
支払いの段になり、乗車券は割引が効くから、往復で買ったほうがいいよとアドバイスをいただき、とりあえず寝台と特急券のみを購入することに。
こんな、手に汗握る的なのはね、日韓W杯の切符とる電話の時以来じゃないかと回想してしまったけど、流石にもう少しあったかな。
とにかく、やっと切符を手に入れた、なんて話だけで随分と長くなってしまいました。
後から考えると、錦糸町というのは良い選択だったなと思いました。
結構テツ対応に慣れていそうな気配ありましたし、窓口が一つじゃなかったし、けど主要巨大駅と比べたらJRの路線が大量に乗り入れてるわけじゃないから、普段使ってる人以外はそれほど狙わないような気がしました。
同様の機会にはまたお世話になりたいと思います。

