『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』とちょっとだけアカデミー賞のこと
昨日、アカデミー賞授賞式でした。
アメリカの映画祭に、邦画が3本も関わるようになる日が来るとは、とても驚きましたが、宮﨑監督作についての驚きといえば、千と千尋から21年ぶり?と、調べたら公開が2001年って、あの映画、そんな前なの?!というくらい。
受賞はまったく疑っておりませんでした。
ゴジラについても、日本はハリウッドに比べて低予算で人数が少なく、とか散々ワイドショーでもやっていましたが、さもありなん。
日本の人件費がアメリカと比べたらどんな状況かっていうね。サービス残業も特にああいう職人専門家業界はすごそうだし。賞が獲れたからボーナスあるかもですが、同じ環境条件でアメリカで作ったら、製作費は数倍に膨れるんじゃないかしら。
なにはともあれ、おめでとうございます。
さて本題は、ずっと投稿しなければと思いながらも、できないでいたこちら。
Killers of the Flower Moon (2023)
レオナルド・ディ・カプリオが最愛のワタクシですから、もちろん、観ました。
スコセッシの映画だし、長いぞ絶対…と思いながらも、実際に206分と情報が解禁されてからは、テーマも重そうだし、辛そうなレオをずーっと観るのはしんどいぞ、と実は躊躇っておりましたがね。
やっぱり、レオの映画を逃すわけにはいかないし、観客動員数の期待値が高そうでもないし、最近上映作の期間読みにくいからな…と、公開から1週間ほどで観ました。
206分か…!
と挑んだものの、終わった後は、あっという間だったなというのが直後の感覚。
一体どう終わらせる気なんだ…と思ったタイミングでだだっと畳み掛けるように終局へ向かったからだと思います。
ネイティブアメリカンが受けた被害はそれなりに聞き齧ってはいましたが、氷山の一角なのですね。
これが実話だったとはと、信じられない思いでした。ひとの命があまりに軽い。それ以上にひとの命という扱いすらされていなかった。黒人奴隷制度を敷いていた国が、ネイティブアメリカンを尊重するわけないと、分かりそうなものなのに。
差別がないとはとても言い難い日本だけれども、肌感覚としてはまったくわかっていないのですよね。
物語は、1920年代のアメリカ、オクラホマ。
先住民たちが権利を持つ天然資源の利権を我が物としたいという企みを笑顔の仮面で綺麗に隠して信頼を得ながら彼らを踏み躙ってゆく町の名士(ロバート・デ・ニーロ)。そしてそんな男の下に復員してきた甥である帰還兵アーネスト(レオ)。
レオは伯父に言われるがままに振る舞い、自らも見染めた先住民女性(リリー・グラッドストーン)と結婚し、彼女の持つ権利を一族のものとしてゆく。
レオは、いままで観たどんな映画のレオよりも愚か者で、哀れでした。
ちなみに、これまでで、最もきつい、もう2度と見れはしないよと、レオが哀れで辛いと感じた作品は、これまたスコセッシ監督作、ディパーテッドでした。ええ、一度きり、映画館でしか観ておりません。
そして、レオの最初の主演作ボーイズ・ライフの時のロバート・デ・ニーロの憎たらしさを更新した今回のデ・ニーロ。穏やかでいつまでも薄い微笑みを絶やさない理性的な男。その特徴は、捕まって留置所にいる状態ですら変わりません。
自分を裏切って罪に追い込む甥に対しても、まるで神父のように接する姿が、実に恐ろしかった。
どこで間違えたのか、なぜ妻をそこまで愛しているのに、その家族にたいしてはなんの感情も抱いてないかのように振る舞えたのか。
実在の人物だから、そういう人だったのだと言ってしまえばそれまでかもしれないけれど、いったい伯父への感情はどのようなものだったのか、畏敬の念を抱くだけの親しさとか絆が復員した時点であったような気もしなかったから、手を血に染めていくレオと妻を愛して守りたいと必死なレオとが両立せず、観ている間は150分くらいずっとしんどかった。100分以上はレオがしんどそうだったので、もう私は苦しくて苦しくて。
撮影期間中のレオがどんなに辛かっただろうかとまで、思考が飛んでしまいました。
たぶん、もう一度見るなんて苦行すぎるだろうから、しっかりと焼き付けておこう、そんな206分でございました。
今回、受賞を逃してしまいましたが、リリー・グラッドストーンは素晴らしかった。
大地のような包容力を感じさせる眼差しと、とても落ち着いた奥行きのある低い声。とても魅力的なモリーでした。
ひとつだけ言いたい。
ラブコメみたいなやつに出てくれないかな、レオ…。
レオを堪能するためだけの、100回見ても辛くない映画に。
ずっとあなたを好きな者のために、一本だけでいいからお願いしますよー。
仮面の男のBRを買うしかないのかなぁ。VHSでは持っているんだけどなー。
WOWOWでなかなか、やらんもんなアレ。
ディパーテッドとキラーズオブザフラワームンとだともう一回見れるのはどっち?って感じだけども。愚か者のレオを見るのはきつい。だが、精神的な追い詰められ方はだいぶディパーテッドの方がきつい。だが、かっこいいレオはディパーテッドだ。なんといおうか、愛おしいレオはこっちだけどな。
いま思う。
14の時に抱いた一つ年上の異国の男への強烈な恋心は、母心(子を持たないゆえの幻想的なすごいやつ)に昇華してしまったのか、と。